個人再生 退職金
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個人再生は借金を大幅に減らせる手続きですが、いくつかデメリットがあります。
そして退職金に関して、
『個人再生をしたら退職金は減る?』
『退職金は差し押さえの対象になる?』
このように不安を感じている方もいらっしゃると思います。
ですが個人再生をしたからといって貰える退職金が減ることはありません。
また、退職金を差し押さえられる事もありません。
ただし退職金の金額によって『最低弁済額』が変わります。
最低弁済額とは『個人再生をしても最低限返済しないといけない金額』のことです。
つまり、退職金の金額によっては返済する金額が増えるという事です。
今回は、最低弁済額と退職金の関係についてまとめていきます。
1.退職金によって個人再生後の返済額が変わる
個人再生をしてもしなくても貰える退職金の金額は変わりません。
もちろん退職金の差し押さえも無いので、手元には確実に入ってきます。
ですが、最低弁済額(個人再生後に返済しないといけない金額)には影響があります。
その理由は、最低弁済額は『清算価値』に応じて高くなるからです。
平たくいえば、
- 退職金が増えれば清算価値も増える
- それに応じて最低弁済額も高くなる
- それに応じて個人再生後の返済額も増える
個人再生をする上で清算価値は非常に大切です。
ややこしい理屈をあえて省いて、カンタンな例を出します。
例)
あなたには500万円の借金があります。
でも、清算価値は家・車を合わせて450万円ありました。
最低弁済額は清算価値以上じゃないとダメなので、この状態だと個人再生を終えても450万円の返済義務が生まれます。
この例だと、せっかく時間とお金をかけて個人再生を利用しても借金は50万円しか減らない可能性が高いです。
なので『清算価値をいかに抑えるか』が大切です。
※最低弁済額の詳細は以下の記事にまとめているので、今回はなるべく分かりやすく説明します。
2.退職金の全額が清算価値に含まれるわけではない
清算価値とは『現金・車・家・退職金など自分が持っている財産の価値』を指します。
でも退職金が400万円でも、その全てが清算価値にカウントされるとは限りません。
『退職金のうち何割を清算価値に含めるか』は個人再生のタイミング次第で変わります。
タイミングとカウント割合は、
- しばらく退職予定がない:退職金の1/8
- 近い将来退職する予定がある:退職金の1/4
- 退職したが退職金はまだ受け取っていない:退職金の1/4
- すでに退職金を受け取っている:退職金全額
※裁判所によって割合が異なる事もありますが、東京地裁では上記のとおりです。
つまり、
という感じです。清算価値に退職金全額を加えるのか、1/8を加えるのかでは、最低弁済額も大きく変わってきます。
3.最低弁済額を増やさないための方法
最低弁済額を増やさないためには、個人再生の認可決定が終わってから退職金を受取るのがベストです。
しばらく退職する予定がなければ、清算価値には『退職金の1/8』しかカウントされません。
なので最低弁済額はあまり増えないでしょう。
問題は退職時期が近づいている場合です。
この場合は、
- 近い将来退職する予定がある:1/4
- 退職したが退職金はまだ受け取っていない:1/4
- すでに退職金を受け取っている:全額
退職金を受け取ってしまうと、
- 退職金の全額を清算価値に含める必要がある
- それに応じて最低弁済額もグッと増えてしまう
- 個人再生を終えても返済額はあまり減らない
でも退職金を受け取っていないなら、
- 退職金の1/4しか清算価値に含めなくていい
- 最低弁済額もそこまで増えない
- 個人再生を終えると返済額はしっかり減る
つまり最低弁済額を増やさないためには、
『個人再生の認可決定が終わってから退職金を受取る』
のがベストです。
このタイミングを狙う場合は、まず弁護士に相談しましょう。
裁判所への申立~認可が貰えるまでは約6ヶ月かかりますが、詳しいスケジュールは弁護士が把握しているはずです。
4.退職金を受け取っていない場合は証明書が必要
退職金はその何割かを清算価値にカウントする必要があります。
でも、実際に退職金はいくら貰えるのかを証明するために『退職金見込額証明書』が必要となります。
これは勤続5年未満でも必要なので、退職前にきちんと会社から受け取りましょう。
ただし、個人再生することを会社に知られたくない方も多いでしょう。
そんな時は、
- 住宅ローン審査のために必要 と伝える
- 就業規則をもとに退職金を計算する
退職金見込額証明書は住宅ローン審査の時も必要な書類ですから、申請したせいで会社から疑われることはないでしょう。
ただ既に住宅ローンを組んでいる場合などは、この方法は使えません。
その時は、就業規則にある退職金規定をもとに自分で計算してもOKです。
この場合は計算結果と就業規則を裁判所へ提出する事になります。
また、そもそも退職金が貰えない場合もあるでしょう。
そういう場合は『退職金が貰えない事が確認できる就業規則』を提出するだけでOKです。
5.まとめ
少しややこしくなってしまったので、最後にまとめておきます。
退職金はちゃんと貰える?
個人再生の有無に関わらず、退職金はきちんと受取ることが出来ます。
ただし退職金の金額・受取る時期によっては、最低弁済額が増えてしまいます。
最低弁済額とは?
これは『個人再生をしても最低限返済しないといけない金額』を指します。
最低弁済額と退職金の関係は?
最低弁済額は、清算価値が高ければそれに応じて増えます。
清算価値とは『現金・車・家・退職金など自分が持っている財産の価値』を指します。
そして退職金が多ければ、清算価値も高くなります。
つまり、
- 退職金が多くなる
- それに応じて清算価値も高くなる
- それに応じて最低弁済額も増える
退職金のカウント割合について
退職金はその全額が清算価値にカウントされるわけではなく、
- 退職予定がない:退職金の1/8
- 近い将来退職する予定がある:退職金の1/4
- 退職したが退職金はまだ受け取っていない:退職金の1/4
- すでに退職金を受け取っている:退職金全額
そしてカウント割合が低いタイミングで退職金を貰えば、清算価値・最低弁済額もそれほど増えないので、返済生活が楽になります。
『最低弁済額』や『清算価値』とややこしい言葉が並びました。
でもざっくりまとめると、
- 自分の財産が多いと返済額が増える
- 退職金のカウント割合は時期によって違う
- 退職金のカウント割合が低いほど返済額が減る
なるべく返済額を抑えるためにも、より良いタイミングで個人再生を行いましょう。
これは自分で考えるよりも弁護士を頼るほうが早くて確実なので、まずは無料相談で専門家に話を聞いてみて下さい。
そうやってより良いタイミングを把握した上で個人再生をするのがベストです。
とはいえ初めて法律事務所を利用する方にとっては、無料相談でも少しハードルが高いと思います。
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