個人再生は借金を大幅に減らすことが出来るので、利用を考えてる方も多いでしょう。
またギャンブル・娯楽などによる借金があっても利用可能というのは、自己破産にも無い大きなメリットと言えます。
ただ中には、
『依頼してからどれぐらい時間がかかる?』
『借金返済は何年間かけてするの?』
『ブラックリストには何年ほど載るの?』
こういった疑問を感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、個人再生とその期間について分かりやすくまとめていきます。
先に結論から言ってしまえば、
- 依頼~手続き完了:約9~12ヶ月間
- 借金返済~完済:原則3年間
- ブラックリスト:完済後5年~10年間
このようになります。
では、実際に1つずつ見ていきましょう。
1.個人再生の手続きには約9~12ヶ月間
まず、大まかな個人再生の流れとそれにかかる期間を説明します。
「法律事務所へ依頼」から「返済スタート」までは、
- 法律事務所へ依頼
- 受任通知を貸金業者へ発送(当日)
- 取引履歴をもとに引き直し計算
- 経済状況を整理・調査
- 書類を準備し裁判所へ申立(約2~3ヶ月後)
- 個人再生委員が選出
- 債権の届け出
- 再生計画案を作成・提出(約6~8ヶ月後)
- 履行テストを実施
- 再生計画案の認可(約8~10ヶ月後)
- 返済をスタート(約9~12ヶ月後)
このような流れとなります。
そのため返済がスタートするのは、法律事務所への依頼から約8~9ヶ月後となります。
取引履歴・引き直し計算とは?
「取引履歴」とは借金総額や完済時期・返済日・返済額などが細かく記録されている資料で、貸金業者が所持しています。
これを元に、正当な利息で正確な借金残額を計算するのが「引き直し計算」です。
個人再生委員とは?
カンタンに言えば、個人再生をする上での面接官&アドバイザーです。
面談をして経済状況を確認したり、再生計画案の作成・履行可能性テストなどを実施します。
再生計画案とは?
カンタンに言えば、今後の返済計画案です。
これをもとに裁判所が個人再生を認めるかどうかの判断を下します。
これは内容次第で『個人再生が認可されるか』が変わります。
履行可能性テストとは?
今後借金を返済できる見込みがあるのかを確かめるテストです。
再生計画案に基づく金額を、個人再生委員の指定する銀行口座へ振込を行います。
これも結果次第で『個人再生が認可されるか』が変わります。
債権の届け出とは?
あなたにお金を貸している債権者(貸金業者)が、借金の有無・借金額に間違いがないかを確認することを差します。
2.個人再生の手続きが延びることも
法律事務所への依頼から返済スタートまで約8~9ヶ月後と書きましたが、もちろん多少延びる事もあります。
手続き期間が延びる原因としては、
- 法律事務所への支払いが遅れる
- 弁護士が辞任してしまう
- 必要な書類がなかなか準備できない
- 貸金業者から取引履歴がなかなか送られてこない
- 履行可能性テストの結果が良くない
こういった理由が考えられます。
そして特に注意が必要なのは、1・2・3です。
<1.法律事務所への支払いが遅れる>
1.については、着手金の分割払いをしているケースが多いです。
分割払いは1回あたりの支払いが抑えられて便利ですが、着手金を分割払いにするのは微妙です。
そもそも着手金とは『依頼に取り掛かる時にかかる費用』です。
なので着手金を分割払いにしていると、支払い終わるまで依頼に取り掛かってくれない可能性があるという事です。
成功報酬の分割払いは負担を抑えるために有効ですが、着手金を分割払いにする場合は注意して下さい。
<2.弁護士が辞任してしまう>
基本的に、依頼を引き受けた弁護士が辞任する事はありません。
ですが、弁護士に虚偽の報告をしている場合は例外です。
例えば、
『保証人に迷惑をかけたくない』
『クレジットカードは手元に残したい』
『車を取り上げられたくない』
こういった理由などで、あえて借金を隠すのは絶対NGです。
確かに、保証人がいる状態で個人再生をすると迷惑がかかりますし、カードは強制的に使えなくなります。
でも弁護士にウソをつくと、
- どの貸金業者も平等に扱うという原則を破る
- 裁判所・個人再生委員にもウソをつく
という事態になります。
個人再生には『どの貸金業者も平等に扱う』という原則があり、これを破ると『偏頗弁済(へんぱべんさい)』といって個人再生が認められなくなる可能性が高いです。
これは弁護士にもフォロー出来ない事態ですし、信頼関係も失います。
そして弁護士は、信頼関係の築けない顧客から辞任することもあります。
そもそもウソをついても確実にバレるので、虚偽の報告は絶対にやめましょう。
<3.必要な書類がなかなか準備できない>
個人再生を利用する上で、必要になる書類は複数あります。
特に時間がかかるのは、
- 陳述書
- 家計簿(直近2,3ヶ月分)
- 再生計画案
これらの書類です。
陳述書や家計簿は裁判所へ申立する時に必要なので、これらが準備できないと手続きが全く進みません。
陳述書には職業や職歴・財産・住居に関することや、借金を作った理由・返済困難にまで陥った経緯・返済状況なども書く必要があります。
弁護士からアドバイスを貰えるとは言え、30分や1時間では書ける書類ではないでしょう。
そして家計簿は裁判所のHPに書式がありますが、日常つけているモノよりも項目が多めですし、細かく正確につける必要があります。
レシート・領収書なども保管しつつ家計簿を2,3ヶ月分つける必要があるので、準備するにはある程度の時間がかかります。
また再生計画案についても、現実的な返済計画案を考えてまとめる必要があります。
これも個人再生委員がアドバイスをしてくれますが、個人再生の認可が受けられるかを大きく左右する書類なので慎重に仕上げる必要があります。
また明確な提出期限が設定されていて1日でも過ぎれば個人再生が認可されないので、提出遅れは厳禁となっています。
こういった書類を揃えられない場合は、「個人再生の依頼」から「返済スタート」までの期間がどんどん伸びてしまう事になります。
そのため必要な書類は弁護士にも確認した上で、なるべく早めに準備しましょう。
3.個人再生の返済期間は原則3年間
これまでは「個人再生の依頼」から「返済スタート」までの期間についてでした。
これからは「返済スタート」から「返済完了」までの期間についてまとめていきます。
個人再生の返済期間は原則3年となっています。
つまり個人再生によって大幅に減額できた借金を、全36回で返済するという事です。
借金が100万円になった場合は、毎月2.8万円ずつ返済していく事になります。
借金総額や経済状況によっては最長5年まで認められますが、3年となるケースが多いです。
ただ、やむを得ない事情がある場合は最大2年の延長が可能です。
やむを得ない事情に当てはまるのは、
- 勤務先が変わって収入が減った
- 家族が病気になって働けなくなった
- 子供が進学してお金が必要になった
こういった内容です。
もちろん延長には裁判所の許可が必要なので、すぐに延長する事は出来ません。
延長が必要な場合は、もう一度法律事務所へ相談される事をおすすめします。
4.ブラックリストは完済後5年~10年間
個人再生をするとブラックリストに載ります。
厳密に言えば、信用情報機関に事故情報が登録されます。
ブラックリストに載った状態だと、
- クレジットカードを作る
- クレジットカードを使う
- 新たにローンを組む
- 新たに借入をする
- スマホを分割払いで購入する
- 保証人・連帯保証人になる
- マンションなどの賃貸契約を交わす
こういった事が出来なくなります。
ただし賃貸契約については、『信販系』と呼ばれる家賃保証会社を利用しない賃貸物件なら契約可能です。
これは賃貸物件を1つずつ調べると大変なので、不動産業者に説明して探してもらうのが一番確実です。
そしてブラックリストに載るのは、借金を完済して5年~10年間だけです。
完済後5年~10年経つと、信用情報機関から事故情報が消えます。
事故情報が消えた直後に信用が全回復するわけではないですが、それからは審査に通る可能性が出てきます。
『個人再生後のクレジットカード』についてはこちらの記事にまとめています。
また『完済後に知っておきたいポイント』についてはこちらの記事にまとめています。
5.まとめ
最後に、この記事のおさらいをしておきます。
「依頼~手続き完了」については、
- 法律事務所への支払いが遅れる
- 弁護士が辞任してしまう
- 必要な書類がなかなか準備できない
- 貸金業者から取引履歴がなかなか送られてこない
- 履行可能性テストの結果が良くない
こういった理由から期間が延びることも考えられます。
また「借金返済~完済」についても、
- 経済状況などによって最長5年
- やむを得ない事情があれば最大2年延長
こういった事が可能です。
ただ裁判所の許可・判断が必要なので、すぐに認められるわけではありません。
個人再生はすぐに終わる手続きではなく、年単位で時間をかける必要があります。
ただその分、借金への破壊力は抜群です。
個人再生をすれば、400万円もの借金が100万円にまで減る可能性があります。
たった1年間で300万円も借金が減らせる方法は、個人再生か自己破産ぐらいでしょう。
でも自己破産は家・車を取り上げられる可能性が高いですし、他にも様々なデメリットがあります。
そもそもギャンブル・娯楽などの借金では利用できません。
自己破産に比べると個人再生はデメリットも少ないですし、いくつかは対処法もあります。
法的手続きを利用するのはハードルが高いでしょう。
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依頼せずに終わる事も出来るので、まずは専門家の話を聞いてみて下さい。