2020年時点で、奨学金を利用して大学・短大へ進む学生は37.5%だそうです。
つまり2.7人に1人は利用している事になりますが、奨学金が借金返済の重荷になるケースも増えています。
とはいえ個人再生で奨学金を減額しようとすれば、連帯保証人である親・親戚などに大きな迷惑がかかるケースも多いです。
そこで今回は、
『奨学金だけ個人再生から外すことは出来る?』
という疑問を持っている方のために記事をまとめています。
まず結論からいえば、奨学金だけを個人再生から外すことは出来ません。
これは、個人再生をする場合は『どの債権者も平等に扱う』という原則があるからです。
もしこの原則を破って、
このように債権者を不平等に扱うと、最悪の場合は個人再生の認可が受けられなくなります。
これを『偏頗弁済(へんぱべんさい)』と言います。
なので『奨学金だけは自力で返済して、それ以外は個人再生する』ということは、残念ながら出来ません。
とはいえこの記事を読んでいる方の中には、
『なんとかバレないように出来ないの?』
と考えている方がいらっしゃるかも知れません。
確かに、あなたが奨学金を借りている事を伝えずに個人再生の依頼をすることは可能です。
でも、これはまず間違いなくバレます。
個人再生の申立をされた裁判所は、あなたが抱えている借金について詳しく調査を行います。
具体的には、
- あなたが個人再生手続きを開始したことを官報で告知する
- お金を貸している債権者から具体的な金額などを報告してもらう
- それによって正確な借金残額を調査する
※官報とは国が発行している機関紙の事で、個人再生をした人の情報も掲載しています。
官報については以下の記事にまとめています。
つまり裁判所は、
- あなたが提示した借金残額
- 債権者たちが提示した借金残額の合計
あなたが奨学金の事を隠していても、裁判所が日本学生支援機構からの報告を受ければすぐにバレるという事です。
これがバレれば個人再生の認可を受けられない可能性が高いので、奨学金の事を隠して個人再生をするのは絶対に辞めましょう。
依頼していた弁護士が辞退する可能性も高いですし、手続きにかかる時間・費用がムダになるだけです。
では、奨学金ごと個人再生をしたらどうなるでしょうか。
これは『保証人が誰になっているか』によっても異なります。
そして個人再生によってあなたの返済義務が400万円⇒200万円に減るとしたら、以下のようになります。
連帯保証人がいる場合は、
- 減額された200万円を連帯保証人が支払うことになる
- 基本的には一括払いになる
- 日本学生支援機構に交渉すれば分割返済が認められる事も多い
つまり連帯保証人になってくれた方に大きな迷惑がかかるので、必ず事前に伝えて謝っておくことが大切です。
そして機関保証を利用している場合は、
- 減額された200万円を日本国際教育支援協会が肩代わりしてくれる
- 200万円を日本国際教育支援協会へ返済していく必要がある
- 分割返済への変更や返済期限の猶予をくれる事もある
どちらの場合でも『借りていた奨学金の返済義務が消えることはない』ということは共通しています。
ですが機関保証を利用していれば、少なくとも親・親戚に迷惑を掛ける事はありません。
そのため利用しているのが機関保証なら個人再生を利用するのもアリだと言えます。
ちなみに、機関保証を使っているかどうかは
- 返還誓約書
- 貸与奨学金返還確認票
ここで『連帯保証人』という欄に名前が入っていれば、機関保証を利用していないことになります。
もし、あなたが連帯保証人のいる奨学金を借りていてどうしても迷惑をかけたくない場合は、個人再生ではなく任意整理を利用するという方法もアリです。
任意整理であれば、
このように債権者によって対応を変えることも可能です。その代わり減額できる借金額も減りますが、使い勝手が良くて利用者も多い手続きとなっています。
個人再生と任意整理の違いや、奨学金に関する詳しい情報は以下の記事にまとめています。